九州産業大学 田中研究室

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研究内容

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研究内容

情報技術の活用による保育の可視化と幼児期の心身発達を支える保育環境の構築(産学連携研究)


情報技術の活用による保育の可視化と幼児期の心身発達を支える保育環境の構築(産学連携研究)

保育の量的・質的拡大が進む中、保育者の負担は増大する傾向にあります。

その中で、質の高い保育を展開するために、保育の成果を可視化し、保育者による自己評価と省察を促すことができる情報技術の開発を試みています。
具体的には、保育施設を利用する乳幼児に身体活動量計を装着してもらい、身体活動の分析結果を定期的に保護者や保育者に送付しています。
身体活動量計に蓄積したデータはICTを用いて研究センターに送られ、専用ソフトで分析したうえで返却を行います。
保育者の自己評価と省察を促すシステムによって、現在のところ保育者による定性的な評価では気づくことができなかった、乳幼児の身体活動の実態に保育者が気づくことが可能となり、保育者間でもエビデンスに基づく子どもの育ちや保育のあり方についての議論が起こるようになったことが確認されています。

ゴレタネットワーク社

保育者の専門性の発達を支える保育記録と映像研修に関する研究(保育実践現場との共同研究)


保育者の専門性の発達を支える保育記録と映像研修に関する研究(保育実践現場との共同研究)

乳幼児期の発達的重要性から、近年「保育の質」の向上については高い関心が寄せられています。
「保育」の範疇は大変幅広いものですが、本研究室は多くの保育実践現場との共同研究を行うことで実践のための研究を目指しています。
例えばその中から二例挙げてご紹介します。

まずは、12歳児における身体活動に関する評価作成に向けた試みを紹介します。
12 歳児ではすでに人間の基本的な運動機能や指先の機能の著しい発達がみられます。そのため12歳児にとって身体活動(安静にしているとき以外のすべての動き)は発達における重要な役割を担っています。
本研究室では、保育者32名と「子どもが心地よく身体を動かすために必要な保育環境」についてラベル抽出を行い、15回にわたる修正を重ねてルーブリック型保育環境評価指標案の検討を行いました。
加えて、乳児58名のルーブリック評価と実際の乳児の身体活動量を1か月間測定し、両者の関連から評価票の精度を上げることで、「心地よく身体を動かすための保育環境整備 -12歳児を対象にしたルーブリック評価-」を作成しました。
この身体活動支援ツールを活用いただくことで、それを到達するために必要な大人のかかわりを参照することができ、保育施設や家庭における健康的な子どもの育成につながることが期待されます。(この研究はJSPS科研費 16K17404の助成を受けて実施したものです)
 

他にも、保育者自が自身の保育を振り返る最も身近な記録物であり、子どもの育ちについて保護者と情報共有を行う手段である「連絡帳」に着目した研究があります。
保育者が考える質の高い連絡帳の共通点について検討し、連絡帳に必要な保育者の専門性を高めるための研修材料の開発を行いました。
研修では「子どもの姿を読み取る視点」やそれを言語化した「記録物」を保育者同士で検討することで、新任期でも中堅・ベテランでも、ファシリテーターを任されることが多い主任の先生方でも「保育の課題に自ら気づき改善する」サイクルが生じました。
また自身の保育観が明確になると共に、保育者同士の協働の機会となることが確認されました。(この研究は福岡県保育協会保育士会研究部会との共同研究です)

乳幼児の身体活動に関する評価基準についての研究


乳幼児の身体活動に関する評価基準についての研究

近年、世界的に幼児の身体活動量の低下が問題となっており、日本においても日々必要とされる身体活動(幼児期運動指針の基準では中強度以上の運動を1日に60分以上)を確保できていない幼児が散見されています。

そのため、保育現場における身体活動の確保に期待が寄せられています。
しかし、自然な生活場面で乳幼児の身体活動を正確に把握することは非常に難しく、これまでは保育者による定性的な評価に依拠してきたという現状があります。

しかし、乳児期から卒園までの教育の連続性の中で、定性的な評価にだけ頼るのではなく、定量的な評価を行いながら乳幼児の発達に沿った多様な運動経験の確保が必要であると言えます。

そこで本研究室では、乳幼児に小型の身体活動量計を装着してもらい、保育の中の身体活動量・運動強度を測定することで乳幼児の身体活動の特性を分析しています。
さらにその結果を基に、保育者が自身の保育を振り返り、次にどのような保育の目標や計画が必要を考えるときに役立つツールとして、ルーブリック形式の身体活動の環境評価票作成も行っています。

幼児の身体活動と生活リズムに関する研究


幼児の身体活動と生活リズムに関する研究

「背筋がぐにゃぐにゃしている」「集中できない」「すぐに寝そべる」「何事にも興味関心が持てない」などという子どもの姿についてご相談をいただくことが増えています。
そのような乳幼児の問題背景として、食事・睡眠・運動習慣・スクリーンタイム・保育所/幼稚園や家庭における大人の習慣等が挙げられますが、そのような生活リズムと乳幼児の健康な心身の発育発達との関連について研究を進めています。

生活リズム確立児は未確立時に比べ午前中の体温の上昇が遅いことや、身体活動量・運動強度ともに低いという結果が得られています。
幼児の生活リズムを確立させることは、心地よい身体で外界の世界を拡げていくことに直結します。
そのため、生活を大人に依存している幼児期には、幼児教育現場や家庭における大人の行動変容が乳幼児の心や身体の安定につながるのです。

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